「実印が必要」になるタイミングは、人生であまり多くはありません。
でも必要な時は、比較的大きな買い物の時だったりします。
人生の節目に使うことが多い印鑑です。
ここでは、個人の実印について三文判との違いや、登録方法、使用時の事例などまとめました。
このページに書いていること
実印とは
実印とは一定の契約や証明書において用いる必要がある印鑑です。
市区町村にて登録を行う必要があり(=「印鑑登録」と言います)法的な効力を持ちます。
この、印鑑登録をおこなった印鑑を「実印」といいます。
個人も法人にも実印は必要で、数種ある印鑑の中でも、もっとも重要な印鑑です。
様々な契約や書類において「自分の意志」を表明する役割があります。
ちなみに、印鑑登録がされていない場合は実印とは見なされないので注意しましょう。
印鑑登録については下記に記載します。
三文判と実印
一般的な「三文判」も印鑑の1つです。
いわゆる、文具店やホームセンターの他今では100円ショップでも販売している出来合いの安価なハンコです。
これらはほとんどを機械でコピー製造した同型の量産印です。
流通状況でなんとも言えませんが、同じ店には同型の印影がないにしても、系列店では販売されていたりします。
同型の印影が存在する可能性がある印鑑です。
このようなハンコを実印として印鑑登録したり、銀行への届出印として使用するととても危険です。
すでに印鑑が複製されているわけで、勝手に使われる可能性があるのです。
捺印を「形式」程度に思って、とりあえず、捺印があればよいという考えを持っている人も多いです。
しかし、その意識は問題です。
自分のハンコを大事にすることをとても大切であり、相手もそのハンコをみて、人となりを見極めています。
さすがに 三文判 を実印や銀行の届け出印にしている人は少ないでしょう。
実印を使うシーンは、人生でそれほど多くないです。
ただ、実印やその登録を証明する印鑑証明が求められる時は、凛とした空気が流れるタイミングが多いです。
現在お持ちのハンコを確認してみてはどうでしょうか。
自分に見合ったハンコなのか、自分なりに評価してみるのも良いです。
実印は十万円を超える高価なものもありますし、場合によっては三文判レベルの印鑑も登録できることがあります。
その印鑑は自身に“ふさわしい”のか考えてみてください。
実印が必要な具体的なシーン
実印やその印鑑登録が必要なシーンはそこそこ多くあります。
大きく分けて登記に関連すること、公正証書にかかわることです。
- 不動産の購入
- 各種ローンの契約
- 自動車の売買取引
- 電話加入権の取引
- 遺産の相続(相続人が複数となる場合)
- 公正証書の作成・金銭等の貸借証明書・契約書
- 法人の発起人となるとき
- 保険金や保証金の受領
まず、マンションや住宅を購入した場合、そのローン、不動産の抵当、自動車の個人売買です。
ほとんどの人が一度は経験するのではないでしょうか。
これらは「登記」について手続きが必要になるので、仲介する会社などから印鑑証明や実印を求められます。
また会社の「登記」についても必要になることがあります。
基本的に会社を設立する際には定款作成と発起人(個人)の印鑑証明が必要になります。
その後の会社登記内容の変更にも必要になる場合があります。
そして、公正証書の代表的なものが「遺言」です。
遺言を作る際には実印が必要になります。
法的効力が強いわけではない
勘違いがないように伝えますが、実印だから効力が強いとか、法的効力を発揮するわけではありません。
「実印」が必要な書類に「重要な契約書」が多いだけです。
他の書類に、実印を押したからといって内容が変わるわけではありません。
法律では、自筆のサイン・三文判でも効力を持ち、契約を結ぶことができます。
印鑑登録の方法
市区町村の役所で、その印影を「実印」として登録します。
実印として使う印鑑も、登録しなければ「実印」にはなりません。
そして、印鑑証明とは印鑑登録の証明書として役所が発行する書類です。
登録することで、第三者にもわかる書類になるわけです。
登録しない場合、実印として販売されている印鑑を使っても認印という扱いになります。
印鑑登録をして、印鑑証明と一緒に用いることで、法律的に実印としての効力を発揮します。
実印や印鑑証明を求められるようなケースは上記のように、高額な取引や法的に意味を持つ場合が多いです。
理解した上で、手続き、押印を行うことが大切です。
登録できる印鑑の条件
実印として印鑑を登録するには、要件が存在し、その1つに印影のサイズも決められています。
8㎜以上で25㎜以内の正方形に収まるもの
出なければいけません。
ちなみに、この中に納まる形ならば、適切でない印影でなければ、形は問われません。
登録できないもの
- 住民票の本名以外はダメ
- 氏名以外に肩書を書くのはダメ
- 印鑑の一部が欠けているとダメ
- 印影が不鮮明なものはダメ
- ゴム印は変形しやすいのでダメ
- 大量生産された三文判はダメ
裏を返せば、本名で、はんこ屋さんで作ったオリジナルの印鑑であることということです。
印鑑登録は変更する場合がある
実印は役所に登録するので
引っ越しして自治体が変わる時
結婚して苗字が変わる時
変更の届け出をしなければいけません。
引越しをして、住所変更をしてしまった場合、実印も使えなくなります。
住民票の移動なども一緒に行うので、その作業の1つとして印鑑登録もあると考えておけばOKです。
印鑑登録の廃止手続き
実印登録ができるので、廃止の手続きもできます。
廃止することで、これまでの効力がなくなるわけです。
もちろんすでに済んでいる契約がなくなるわけではありません。
今後「実印」として使えないというだけです。
実印を購入したら、忘れずに印鑑登録をしておきましょう。
実印はどこで作る?
三文判を実印登録をできる場合もあります。
ただし、すでに複製されていることが大前提なので、あまりお勧めはできません。
実印はやはり信頼のできる職人が彫ってくれるはんこ屋で作ることをお勧めします。
作る際の注意点
実印は大切な印鑑なので、気をつけておきたい点がいろいろとあります。
丈夫な印材を選ぶ
欠けてしまったり、摩耗して印影が消えている場合は、実印としての効力を失ってしまいます。
欠けやすい素材は避けたいですし、かといって機械でしか彫れない素材も避けましょう
機械はどうしても複製されやすいためです。
また個人の印鑑であれば生涯1本だけ使うことを考えると、長く使える耐久性もなければいけません。
朱肉がしっかりのるいい印材であることも重要です。
結果として、牛の角や木材でも硬いものなどが選ばれる傾向です。
印影は真似されない複雑なデザイン
フルネーム/名字のみ/名前のみ の3通りで作ることができます。
できるだけ複製が難しい複雑な印影が好ましいです。
男性用の実印はフルネームで彫ることが一般的で、女性の場合は結婚後姓が変わることを考慮して名前のみで作ります。
実印は、「実印」としての目的だけで使いましょう。
銀行印・認印と併用することは防犯上好ましいことではありません。
ぜひ信頼のできるはんこ屋さんで購入することをお勧めします。